口臭や歯の抜け落ちのリスクが高まる歯周病。 毎日歯磨きしている自分には関係ない、と思っている人が多いの ではないでしょうか。 でも残念ながら、毎日丁寧に磨いているつもりでも、歯周病は 誰にでも起こりうる身近な問題です。
6月4日は「虫歯の日」です。 毎年6月4日から6月10日は、厚生労働省や日本歯科医師会などが 「歯と口の健康週間」を実施しています。この機会にぜひ「歯周病」に ついて、考えてみましょう。
国の調査(令和4年「歯科疾患実態調査」)によると、全年齢層の ほぼ2人に1人が4mm以上の歯周ポケットのある歯 (やや進行した歯周病)があるという結果が出ています。 高齢になるほどその割合が高くなり、歯周病は、歯の生活習慣病、 日本人の国民病とも呼ばれています。
歯周病は、主にお口の中の細菌の塊「歯垢(プラーク)」が原因で 起こります。
初期段階では自覚症状が少ないため、気づかないうちに進行している ケースが多く、進行すると歯を支える骨(歯槽骨/しそうこつ)が溶け、 最終的には歯が抜け落ちてしまうこともあります。歯周病は歯を失う 原因の中でも最も多い疾患となっており、自覚症状が現れた時には すでに手遅れになっていたなど、非常にやっかいな病気です。
参考:日本歯周病学会のチェックリスト
https://periobook.perio.jp/checklist/
歯ぐきの炎症で増殖した菌は、血流にのって全身へ。
食道がんや口腔がんの発症に関わるほか、最近では歯周病の原因菌「フソバクテリウム」と大腸がんの関連も大きな注目を集めています。
事実、日本人の死因の50%以上に歯周病が何らかのかたちで関与している可能性も。
その放置が知らぬ間に命に関わるリスクを高めているかもしれません。
〈下記グラフ参照〉
※「老衰」と「その他」の2項目以外、すべて歯周病に関連する疾患です。
【出典】厚生労働省「令和6年 人口動態統計月報年計の概況」主な死因の割合
1 アルツハイマー型認知症
歯周病菌は、アルツハイマー型認知症の原因物質「アミロイドβ」の蓄積を促す可能性が指摘されています。慢性歯周炎のある人は、ない人と比べて発症リスクが約1.7倍高いという報告があります。
2 心血管疾患
歯周病菌が血管に侵入し炎症を引き起こすことで、動脈硬化のリスクが高まります。重度の歯周病では、心筋梗塞のリスクが正常の人の約1.5~2倍になるとの報告もあります。
3 代謝異常関連脂肪性肝炎(旧:非アルコール性脂肪肝炎)
歯周病による炎症や細菌が肝臓に影響し悪化させ、アルコールが原因ではない脂肪肝や肝炎の進行を早める可能性があります。
4 関節リウマチ
歯周病菌が免疫バランスに影響し、関節の炎症を引き起こしたり悪化させたりすることも。
5 骨粗しょう症
歯周病の炎症が骨の代謝に影響し、骨の減少を促す可能性が指摘されています。
6 誤嚥性肺炎
口腔内の細菌が唾液とともに気管に入り込み、肺炎を引き起こすことがあります。
7 糖尿病/肥満・メタボリックシンドローム
歯周病は血糖コントロールや内臓脂肪に影響し、代謝の悪化に関わる可能性があります。歯周病治療により血糖値(HbA1c)が改善したという報告もあります。
8 がん
近年、歯周病とがんの関連についての研究が進んでおり、「食道がん」や「口腔がん」など口の近くだけでなく、「大腸がん」や「すい臓がん」などとの関係も指摘されています。また進行した歯周病患者は、がん全般のリスクが24%~30%高まるとの報告もあります。
9 早産・低体重児出産
妊婦で歯周病に罹患している場合、そうでない妊婦と比べて、低体重児および早産の危険率が約7倍以上になり、このリスクの高さは、飲酒や喫煙といった要因よりも大きいことがわかっています。
※その他、歯周病と関連した過去のメルマガも併せてご覧ください。
Vol.40 70%の人が無意識に経験している「歯ぎしり」・「食いしばり」
Vol.41 「パートナーも必読! 歯周病と早産」
Vol.70 今すぐ始めよう「骨粗しょう症」対策
歯周病は適切なケアで予防することが可能です。
自分は大丈夫と思わず、将来の健康のためにも、今からしっかりと対策を始めましょう。
歯磨き/歯間ケア/唾液を出す
日々の歯磨きに加えて、歯間ブラシやフロスで歯周病の原因となる 「歯垢」をしっかり取り除くことが基本であり、最も重要です。 また、よく噛んだり、キシリトール配合のガムなどを噛んで唾液を出す こともお口の自浄作用を高めます。
禁煙/食生活/ストレス管理
喫煙は歯周病を悪化させる大きな要因です。禁煙はもちろん、バランスの良い食事や運動、睡眠で「免疫力」を整えるのが、細菌の増殖を抑えるカギとなります。また歯ぐきに負担をかける「歯ぎしりや食いしばり」にも注意しましょう。
定期的なチェックとクリーニング
歯科医院で専門的なチェックやクリーニングを受けることで、歯周病の 早期発見・早期対応につながります。受診の目安は3か月~半年に 1回ですが、お口の状態や年齢によって異なるため、かかりつけ医と 相談して決めましょう。
歯周病は初期段階では自覚症状が少ないため、「静かな病気」とも呼ばれ、見逃されやすい病気です。
「まだ大丈夫」と思っていても、気づかないうちに全身のさまざまな病気のリスクを高めている可能性があります。
虫歯だけでなく、見逃しがちな歯周病にも意識を向けましょう。
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