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vol.88

“コンタクトレンズ失明“にご注意を!

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目を壊す「NG習慣」とその代償

9月10日は「コンタクトレンズの日」です。
全国のコンタクトレンズ装用人口は1,500万~1,800万人とされ、
約10人に1人が使用しているといわれています。

現在の主流は、「ハードコンタクトレンズ」ではなく、1日または2週間で使い捨てる「ソフトコンタクトレンズ」です。
装用感がよく人気ですが、管理やケアの方法を誤ると、重篤な眼疾患を引き起こすリスクがあります。
とくに、感染症(主に角膜炎)の多くは、ソフトコンタクトレンズ使用者に発症しています。

ちょっとした習慣が、知らず知らずのうちに目に深刻なダメージを与えることもあります。
以下の「NG習慣」に、あなたは当てはまっていませんか?

放っておくと怖い!
コンタクトレンズのNG習慣

❌ NG習慣1
長時間の装用・就寝時の装用

睡眠中はまばたきがなくなり、涙液の交換が停止します。
その結果、角膜(黒目)への酸素供給が著しく低下し、角膜の圧迫によって「角膜上皮びらん(浅い傷)」や「角膜潰瘍(深い傷・感染)」のリスクが高まります。最悪の場合、視力の低下や失明に至ることも報告されています。
酸素透過性の高いレンズを選ぶこと、適切な装用時間やケア方法を守ること、そして眼鏡を併用することが大切です。

❌ NG習慣2
水道水で洗浄・装着したまま入水(プール・川など)

レンズを水道水で洗浄したり、コンタクトレンズを装着したままプールや川に入ったりすると、「アカントアメーバ角膜炎」を発症するおそれがあります。お風呂やシャワーも避けたほうがよいでしょう。
原因となるアカントアメーバは、土壌や水道水など日常環境に生息しています。健康な目の状態であれば何も問題ありませんが、コンタクトレンズの長時間使用やドライアイなどで角膜表面が荒れて免疫力が低下していると、感染のリスクが高まります。
この病気は激しい痛みや視力障害を伴い、失明に至ることもあります。
特効薬がなく、治療が難航する点も特徴です。多くの発症者はソフトコンタクトレンズの使用者です。角膜移植が必要になるケースもあるため、十分な注意が必要です。

❌ NG習慣3
保存液の使い回し・不衛生なレンズケース・手指未洗浄での取り扱い

保存液の再利用や、レンズケースを数日間洗わずに放置すること、手を洗わずにレンズを取り扱うことは、雑菌やカビの繁殖を招きます。
これにより「細菌性角膜炎」「真菌性角膜炎」「巨大乳頭結膜炎」などの感染症リスクが高まります。
放置すれば視力障害や失明の原因となる場合もあります。
レンズやケースは毎回清潔に保ち、使い捨て保存液は再使用しないようにしましょう。

❌ NG習慣4
目薬の成分確認を怠る・安易な点眼

一部の市販目薬には「血管収縮剤」や「防腐剤」などが含まれており、
これらはコンタクトレンズ装用中の目に悪影響を及ぼすことがあります。

たとえば花粉症時期に処方される「リボスチン点眼液0.025%」には、防腐剤の成分として塩化ベンザルコニウムが使用されているため、「含水性ソフトコンタクトレンズ装用時の点眼は避けること」と明記されています。

防腐剤がレンズに吸着すると濃度が高まり、角膜との接触時間が長くなることで角膜障害の原因となります。また、レンズ自体が変性し、寿命を縮めるおそれもあります。

ハードコンタクトレンズの場合は、目薬を点眼しても問題なしと言われていますが、「酸素透過性」のハードコンタクトレンズでは、ソフトコンタクトレンズと同様に防腐剤がレンズに吸着することもあるため、「どの目薬でも大丈夫」というわけではありません。

使用する目薬は「コンタクト装用時でも使用可」や「コンタクトレンズ用」と表示されたものを選びましょう。不明な場合や非対応の目薬を使う際は、ソフトでもハードでも、レンズを外してから点眼し、5分以上空けてから再装用してください。

カラーコンタクトレンズも「医療機器」です

おしゃれ目的で使用されるカラーコンタクトレンズ(カラコン)も、通常のコンタクトレンズと同様、「高度管理医療機器」に分類されています。
使用前には必ず眼科での検査・処方を受けましょう。

酸素透過性の低い素材や直径の大きいレンズは、角膜への酸素供給を妨げ、角膜浮腫や角膜新生血管(角膜に異常な血管が生じる)などの重大な障害を引き起こすおそれがあります。

とくに、国内未承認の輸入レンズは品質が不明瞭で、眼障害や健康被害の報告も増えています。見た目や価格だけで選ばず、「医療機器」としての品質を重視し、眼科医の診療・指導を受けたうえで、適切に使用しましょう。

2019年の消費者庁の報告によると、同庁の事故情報データバンクには、2014年1月から2019年7月までの約5年半の間に、コンタクトレンズに関する事故情報が242件、そのうち75件がカラーコンタクトレンズによるものでした。中には、治療に1か月以上を要した事例も6件、報告されています。

一度も眼科医を受診しないまま購入、海外からインターネット経由で個人購入するケースも多くみられたことで、消費者庁ではコンタクトレンズの安全使用に関する注意喚起を行っています。

コンタクトレンズによる眼障害について
-カラコンでも必ず眼科を受診し、異常があればすぐに使用中止を-


消費者庁のリリースへ
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/caution/caution_054/assets/consumer_safety_cms205_210910_01.pdf

「痛くなってから」では遅い!
定期的な眼科検診を

使い捨てソフトコンタクトレンズの普及により、ハードレンズより装用感が良く、ケアも手軽になりました。しかしその反面、長時間装用や使用期限超過など、リスクのある使用方法も増えており、注意が必要です。
「眼鏡を持っていない」「度数が合っていない眼鏡しかない」といった理由で、目に違和感があっても無理に装用を続ける人も少なくありません。また、ソフトレンズは装用感がよいため、「痛くないから大丈夫」と思い込んで初期の異常を見逃し、症状を悪化させてしまうケースもあります。角膜は神経が多く、傷や炎症に敏感なはずですが、異変を感じたときにはすでに重症化していることもあります。

定期検診で「早期発見・早期対応」を

目の健康を守るためには、3か月に一度を目安に眼科検診を受けることが推奨されています。

●角膜や結膜の健康状態
●まぶたや目の炎症・傷・感染の有無
●使用中のレンズやケア用品の適合性
●度数や眼圧のチェック

などを総合的に確認することで、重大なトラブルを未然に防ぐことができます。

まとめ

目は、一度傷つくと元に戻らないこともある繊細な器官です。
コンタクトレンズは視力補正やおしゃれのために広く使われていますが、医療機器であることを忘れてはいけません。
使用前にリスクを正しく理解し、眼科での定期検診や指導を受けながら、適切に管理・使用していくことが大切です。

参照 URL

公益社団法人 日本眼科医会
https://www.gankaikai.or.jp/index.html

一般社団法人 日本コンタクトレンズ協会
https://www.jcla.gr.jp/safely/index.html

日本コンタクトレンズ学会
http://www.clgakkai.jp/index.html

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画像:マスクをしている熊の人形

「コンタクトレンズの日」はいつ?
  • ① 8月10日
  • ② 9月10日
  • ③ 10月10日
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