マイクロソフト業務執行役員を経て、働き方プランナーとして800社以上の働き方改革を 支援してきた越川慎司氏による書籍『世界の一流は「休日」何をしているのか』 (クロスメディア・パブリッシング)が、18万部を超えるビジネス書のベストセラーと なっています。
日本人は「休み下手」と言われ続けてきました。実際に、「休日」に何をしてよいか わからない、という人も多いのではないでしょうか。「ブルーマンデー(憂鬱な月曜日) 症候群」にならず、ポジティブな気持ちで仕事と向き合うためにはどうすればよいのか?
そのヒントは「休日の過ごし方」にあるのかもしれません。
今回は、世界の一流ビジネスパーソンの休日の過ごし方を紹介したベストセラー書籍を
もとに「休息術」についてのお話です。
世界の一流と呼ばれる人たちは、休日を使って単に身体や脳の休息を図るだけでなく、 「心のエネルギー」をチャージする時間も大切にしています。彼らが意識しているのは 自分の「自己効力感」を高めることです。
「自己効力感」とは、「自分は目標を達成できるだけの能力を持っている」と自分自身が
認識することを指します。別の言い方をすれば、「自分はできる」という自信を持つことです。
もし「自己効力感」が低い状態にあると、次の例のようなマイナスの感情が表れます。
①考え方がネガティブになる
②失敗を恐れて挑戦を避ける
③不安や困難があると途中で諦めてしまう
④工夫や努力を継続できない
⑤失敗すると立ち直りが遅い
「自己効力感」と混同されがちなキーワードに「自己肯定感」がありますが、 その違いはどこにあるのでしょうか?
自己肯定感
「無条件に自分の存在には価値がある」と思える感情です。これは、特定の能力や成果とは
無関係に、今のありのままの自分を受け入れる姿勢に根ざしており、自己理解や自己受容を
通じて、徐々に育まれていくものです。
自己肯定感が高い人は、たとえ実績がなかったり、失敗が続いたりしても、自己否定に陥る
ことなく「自分は大丈夫」と思える強さがあります。
自己効力感
「自分ならできる」「きっとうまくやれる」といった、自分の能力や行動に対する具体的な
自信を指します。これは、課題や状況に対して「自分はそれを達成できる」という見通しを
持つ力であり、未来に向かう行動を支える自己認識です。
自己効力感は、成功体験や他者からの学び(代理経験)、周囲の支援などを通じて高める
ことができます。
■2つの違いと役割
両者の違いをまとめると、以下のようになります。
「自己肯定感」は、自分という存在を土台から支える基盤ですが、現代のような超情報化社会では、 他者との比較や社会的評価の影響を受けやすく、揺らぎやすい面があります。
一方、「自己効力感」は、他者との比較ではなく、あくまで自分自身の経験や行動に基づいた 自信であり、スキルの習得や代理経験などを通じて、意図的かつ実践的に育むことが可能です。
2つの自己認識は、社会を生き抜くうえで、仕事をするうえで意識すべきものです。 たとえばミッションを与えられた場面を想定すると、
・自己肯定感があることで、失敗しても自分を責めずに再挑戦できる
・自己効力感があることで、目標に向けた行動計画を立て、実行することができる
という役割の違いが見えてきます。
どちらも重要ですが、現代のビジネス環境のように成果やスピードが求められる場面では、
行動に直結しやすい「自己効力感」の方がより実用的かつ重要だと言えるかもしれません。
実際に欧米企業のエグゼクティブは、「自己肯定感」以上に「自己効力感」を大切にする傾向があります。
ではどのように「自己効力感」を高めればよいのでしょうか?
世界の一流が実践している、次の4つのアプローチが参考になります。
【アプローチ①】
簡単な目標を設定し、小さな達成感を得る
大きな成功体験を目指すよりも、日常の中で小さな成功体験を積み重ねることが、 自己効力感向上には有効です。たとえば、「土日の間に気になっていた本を 20ページだけ読もう」、「明日は9時間寝る」など、簡単な目標を設定し、 実行できた自分をしっかり認めることが大切です。こうした達成感の積み重ねが、 「やればできる」という自信の源となります。
【アプローチ②】
新しいことにチャレンジする
海外のエグゼクティブにも多いのが、休日に料理など新しいことに取り組むことです。
料理というのは、クリエイティビティ(創造力)が求められ、家族や友人を喜ばせる
エンターテインメントにもなります。うまくできれば、新たな自分の一面を発見できますし、
たとえ失敗しても、異なる気づきが得られ、次のチャレンジへの意欲につながります。
重要なのは結果ではなく、挑戦自体を楽しむことです。
【アプローチ③】
人とのつながりを大切にする
誰しも「あなたならできるよ」「きっと大丈夫」といった励ましの言葉をもらうと、
自信が湧いてきたり、前向きな気持ちになった経験があるのではないでしょうか。
休日に大切な家族や、本音で語り合える友人など、自分にエールを送ってくれる人たちと
過ごす時間は、「自己効力感」を高める大きな原動力になります。
他者との温かいコミュニケーションは、自分自身を信じるきっかけや、さらなるチャレンジへの
後押しにつながります。
【アプローチ④】
自己省察(じこせいさつ)の時間を持つ
「自己省察」とは、自分の価値観や思考パターン、これまでの行動を客観的に見つめ直し、
「どうすれば、より良くなれるのか?」を考えることです。グローバル企業のエグゼクティブの
中には、休日の朝にヨガや瞑想、マインドフルネスに取り組む人も多くいます。
こうした「自己省察」の時間を休日に設けることで、忙しい日常の中では気づけない自分の
考えや感情と向き合い、自己理解を深めることができます。
「自己効力感」は、休日の間にたった一度でも「自分はこんなことができる」と感じられれば
十分です。毎回、大きな達成感を求める必要はありません。大切なポイントは、行動ハードルを
低く設定することです。事前に簡単な目標を決めておけば、「何もしなかった」というリスクを
減らすことができ、気軽に「少しだけやってみる」といった小さな行動に踏み出すことができます。
その積み重ねがあなたの「自己効力感」を着実に高めてくれるでしょう。
休日に「自己効力感」を意識的に高めることで、翌週の仕事にも前向きな気持で 取り組めるようになります。「自己効力感」を育てるマインドセットを身につけることで、 仕事も人生もより楽しく、充実したものになるはずです。休日そのものの満足感を 高めるだけでなく、まずは小さな一歩から自分なりの「できた!」を休日に重ねていきましょう。
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