ポリは「たくさん」、ファーマシーは「調剤・薬局」を意味します。 「ポリファーマシー」とは、服用するお薬の種類が増え、飲み合わせの悪い薬や同じ成分の薬を重複して服用することで、体に害を引き起こす症状がでることを指します。 6種類以上の薬の処方がある場合「ポリファーマシー」の1つの目安とされていますが、単に薬剤数が多い、薬を併用することが悪いということではありません。
高齢化が進む現代日本で関心が高まっている「ポリファーマシー」。 主な問題点は、薬剤費の増大や服用する手間があげられますが、より大きな問題は薬による副作用です。特に高齢者は、肝臓や腎臓の働きが弱くなることで、薬を分解したり、体の外に排泄するまでの時間がかかるようになります。そのため、服用する薬が多いほど副作用を起こす割合が高くなることがわかっています。
厚生労働省の2020年度調査では、6種類以上の薬を使っている人の割合は、65~74歳で23.6%、75歳以上で31.7%と報告されています。 薬を処方してもらえる安心感、中止への不安感などといった心理的な要因も大きいかもしれませんが、どのような薬でも、服用する薬の種類が増えれば、その量や飲み合わせによって重大な有害事象が発生するリスクが高まります。 また、服用している薬の副作用で新たな症状と誤認して、さらに新たな薬で対処し続ける「処方カスケード」と呼ばれる悪循環に陥る場合もあります。
ポリファーマシーによる薬物有害事象の主な症状は「意識障害」、「低血糖」、「肝機能障害」、「電解質異常」、「ふらつき・転倒」などさまざまで、重篤なものは死に至ることもあります。 例えば、ある種の痛み止めや利尿薬、降圧薬、ビタミンDなどは、腎機能を低下させる副作用があります。これらが組み合わさると、腎障害が進行し、結果透析が必要になることもあります。
一つの薬局でお薬をもらうことで、かかりつけ薬局の薬剤師は処方内容を把握でき、薬の重複や副作用に気づきやすくなるという利点があります。 また、複数の薬局を利用する場合は、お薬手帳を1冊にまとめるなど上手に活用しましょう。
またスマートフォンのアプリで管理できる電子版お薬手帳もあります。 なかにはマイナポータルと連携できるものもあり、過去5年間に処方・調剤されたお薬情報を確認でき、とても便利ですが、インフルエンザのワクチン接種など『自由診療』の場合やOTC医薬品、薬局やドラッグストアなどで処方せんなしに購入できる医薬品などはマイナポータルには表示されません。
マイナポータルで確認できるからと安心せずに、引き続き、お薬手帳も併用していきましょう。お薬手帳にはメモ機能があるものもあります。 普段飲んでいるサプリの種類やワクチン名、接種した日付なども記入して、医療機関と連携するようにしましょう。
かかりつけ薬局では薬剤師が、服薬状況や体調の変化を把握し、医療機関と情報を共有することで服薬のサポートや多剤重複服薬の見直しを行い、必要に応じて減薬の提案もします。 さらに、ポリファーマシー外来(薬剤師外来)を設けている病院では、お薬全体の見直しや、介護が必要な患者さんのための管理しやすい服薬法について相談も可能です。
最後に、症状が改善したからといって、勝手に薬を止めたり減らしたりすると逆に症状が悪化したり、予期せぬ副作用が発生することがあります。 必ずかかりつけ医や、かかりつけ薬局に相談し、正しく薬を使用しましょう。
厚生労働省 電子版お薬手帳について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/e-okusuritecho.html
お茶やジュースは避ける
薬は、基本的に水またはぬるま湯で飲むのが原則です。
お茶、ジュース、牛乳などは、薬の効果を弱めたり、副作用を強めたり
する可能性があります。
錠剤やカプセルは、勝手に割ったり、開けたりしない
錠剤やカプセルには、薬の効果を調整したり、副作用を防いだりするための工夫が施されています。 そのため、自己判断で錠剤を割ったり、カプセルを開けたりすると、効果が損なわれたり、副作用が強く出たりする可能性があります。
飲み合わせに注意 市販薬やサプリメントも確認を
複数の薬を同時に服用する場合、薬同士が相互作用を起こし、効果が強まったり弱まったり、副作用が出やすくなったりすることがあります。 医師から処方された薬だけでなく、市販薬やサプリメントも同様です。
飲み忘れに注意 気づいたらできるだけ早く服用
薬を飲み忘れてしまった場合は、気づいた時点ですぐに服用しましょう。 ただし、次の服用時間が近い場合は、1回分を飛ばして、次の時間に 服用してください。2回分をまとめて飲むことは絶対にやめましょう。
保管方法に注意 高温多湿、直射日光を避けて
薬は、高温多湿な場所や直射日光の当たる場所に保管すると、品質が 劣化する可能性があります。子供やペットが誤って口にしないように、 保管場所にも注意が必要です。
■監修者
医療法人ONE きくち総合診療クリニック
理事長・院長 菊池大和
HP:http://kikuchi-geclinic.jp/
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