検査前日だけの節制はバレる？

健診は、今の「ありのままの状態」を検査してもらうことが大切です。
健診前日や1週間前からの節制生活も立派な心意気ですが、健診結果を見て「がっかり！」という経験はありませんか？
「検査数値の改善は1日して成らず」です。 検査前日や1週間前からの節制では変化しない検査項目があります。
それが「HbA1c（ヘモグロビンエイワンシー）」です。
これは1～2か月前から現在までの血糖値の良し悪しがわかる検査で、
直前の生活の影響を受けることがなく、一夜漬けで数値を改善することができません。

血液中のブドウ糖はヘモグロビン（赤血球内のタンパク質）とくっついて糖化ヘモグロビンとなり、
赤血球の寿命が尽きるまで元に戻りません。

ヘモグロビンの寿命は120日間で、30日で約半分が入れ替わるので、
HbA1cの値は直近1～2か月前の血糖状態を最も強く反映します。


ではなぜ血糖値検査ではHbA1cと空腹時血糖の両方が必要なのでしょうか？
HbA1cは1～2か月前の自身の状態を示していますが、その変化には時間差があります。
また、HbA1cは血糖値以外の影響も受けるため、血糖値の良し悪しを完全に反映していない可能性もあり、健診では両方の検査を行っています。

血糖値は良いのにHbA1cが高い場合

食後の血糖値が正常より高い可能性が考えられます。
食後数時間だけ血糖値が高い状態があるためにヘモグロビンに糖がくっつき、HbA1cの数値はなかなか下がりません。
このタイプの方は、空腹時血糖が正常値のため食後の血糖値が高いことに気づきません。
このように血糖値が良いのにHbA1cが高い場合は、ご自身で1,5-AG（イチゴエイジー）検査※をしてみるのも良いでしょう。

※数値が低いほど血糖コントロールが悪いという検査。過去数日間の血糖コントロールの指標となります。

血糖値が高いのにHbA1cが正常値の場合

貧血の治療中や回復期は、ヘモグロビンが新たに作られ、
まだ糖がくっついていないヘモグロビンが増えるので、HbA1cは低めになります。

また血糖のコントロールが急激に悪化した場合は、血糖値が高くなってもHbA1cの数値が上昇するまで時間がかかるため、やはり低めにでます。

血糖値の状態は複数の検査を組み合わせることで、より詳しく体の中で何が起きているのかを推測することができます。
血糖値以外にも食事内容や時間の影響を受けやすい検査数値があります。
中性脂肪（TG）やアルカリフォスファターゼ（ALP）は、血糖と同じように食後に数値が上昇します。
食事に含まれる脂肪や糖が小腸から吸収され、血液中に取り込まれることが原因です。
より精度の高い検査をするために検査前日の食事は21時までに済ませ、検査当日の朝食は摂らないようにしましょう
（水分はとってもかまいません。お薬を飲んでいる人は主治医に確認しましょう）。

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