寒くなるにつれ、出番が増える使い捨てカイロ。
冬の朝は、出かける前に貼るカイロを衣服の下に仕込ませたり、上着のポケットに
入れて手を温めながら出かける、という方も多いはず。
例えば、手足が冷たい時にカイロを手でモミモミ触っても、なかなか温たまらない
という経験はないでしょうか。
手足が冷えるのは、重要な臓器が集まる体の中心部に血液を集めて体温を維持しようと
する自律神経の働きです。大切な臓器を守るため、末端の手足に
血液が行きわたらなくなり、温度が下がって冷えを感じるのです。
全身の血行がよくなる場所にカイロを貼れば、
血液がめぐり手足だけでなく全身もポカポカになります。
では、カイロをどこに貼るのがいちばん効率よく全身が温まるのでしょうか?
「腰には冷えに効くツボがある。そこに貼ればすべて解決」という説や、
「血管がたくさんある『足の裏』や『肛門』がいい!」という意見も。太い血管のある首筋や、
足のつけ根のそけい部が効果的、という人もいます。
様々な部位が出てくる中で共通するキーワードは、「血流」と「ツボ」です。
部位によっては、全身が温まるだけでなく「首や肩コリに効果的」「風邪予防になる」
「胃腸を強くする」などと言われている場所もあるので、自分の体の状態に合わせて、
貼る場所を選んでみるのがいいでしょう。
① 腰
腰は、冷えによる腰痛や生理痛などを感じやすい場所。
おへその真裏には、「命門(めいもん)」、そこから指2本分外側の両脇には「腎兪(じんゆ)」
というツボがあり、このあたりにカイロを貼ると腰全体を温めることができます。
それより下に位置する、おしりの上の「仙骨(せんこつ)」は、血管が集まっているだけでなく、
骨盤から背中、首へとつながる自律神経の通り道。温めることで自律神経のバランスを
整える効果が期待できます。
おなかが冷えやすい「内蔵型冷え性」の場合にも、仙骨まわりを温めるのが効果的です。
おなかは脂肪が多く、熱を伝えるのが難しいため、直接温めるよりも骨盤内に
入る神経が多く通っている仙骨まわりを温めたほうが、内臓を温めることにつながります。
② 足首
心臓から遠い足先は血流が滞りがちで、これが足先の冷えを招きます。
太い血管があるくるぶし周辺にカイロを貼ると全身が温まります。
くるぶしの内側にある、アキレス腱との間のくぼみには「太谿(たいけい)」というツボがあり、
冷えに効くと言われます。
また、内くるぶしから指4本分上に位置する骨の際には「三陰交(さんいんこう)」という
ツボがあり、下半身の冷え、むくみに効くと言われるほか、女性の生理痛や更年期障害の
改善が期待できます。
貼るカイロを長めの靴下やタイツの上に貼ってロングブーツやレッグウォーマーで隠したり、
レッグウォーマーの内側に貼りましょう。
③ 足裏
足の裏には血管がたくさんあり、脂肪も少ないので、カイロを貼ることで血液が効率よく
温められます。足裏の、足指を曲げたときに凹む場所には「湧泉(ゆうせん)」という
ツボがあり、冷えやむくみの改善に効果があるほか、筋肉疲労の回復にも効くと言われます。
足裏を温めるには、靴に貼るタイプのカイロを使用すると便利です。
④ おなか
胃や腎臓、腸などの大切な臓器が集まっている、体のいちばんの要所。
全身の冷えが気になるときは、おへそより指2本分下にある「気海(きかい)」というツボを
温めることで、血行を促すことができます。毎日温めることで全身のコンディションが
安定すると言われます。
ミニサイズの貼るカイロをインナーの上から貼ったり、スカートの内側に貼りましょう。
⑤ 首
太い血管が通っているため、首を温めることで血液を循環させ全身が効率よく温まり、
風邪対策にもいいと言われます。
首のうしろ側のつけ根には「大椎(だいつい)」というツボがあり、全身を温めるほか、
首や肩のこりをやわらげるのにも効果的。
マフラーやストールなどに、貼るタイプの小さめのカイロを忍ばせ、首の後ろに
当たるように巻くと温かくなります。
⑥ 背中・肩
肩から背中には「僧帽筋(そうぼうきん)」という大きな筋肉があり、この筋肉を温めることで
全身の血行促進が期待できます。肩や背中のこりの解消にも効果的です。
僧帽筋は前かがみの姿勢のときに、頭の重みを受け止める筋肉になるため、血行が
悪くなりやすい特徴を持っています。スマホ操作やデスクワークの時間の長い現代人は、
首が前方に傾きがちなため、僧帽筋は常に負荷がかかっている状態です。
この僧帽筋は体の深いところにある深層筋ではなく、体の皮膚の近くにある表層筋なので、
使い捨てカイロで温めることで筋肉をほぐすことができます。
⑦ 太もも・そけい部
太ももの前側には「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」という大きな筋肉があるので、ここを
温めることによって、内臓を含めた全身の血行を効率的に促進することができます。全身の
血行がよくなることで、便秘や下痢などの胃腸の不調の改善も期待できます。
また、脚のつけ根のそけい部には、「大腿動脈」という太い血管があります。
肌の近くにある血管のため熱が伝わりやすく、ここにカイロを貼ると足先までポカポカに。
⑧ 二の腕
「さむっ!」というときに、自然と手を伸ばしてこすってしまう二の腕は、
血流が滞りがちな箇所です。
カイロで二の腕を温めることで、寒さを感じにくくなります。腕や手だけでなく
肩まわりも温かくなるため、肩こりの人にもおすすめ。
インナーの上からカイロを貼ったり、ジャケットの内側に貼って温めましょう。
カイロは体を手軽に温められる便利なアイテムですが、「低温やけど」になる恐れもあります。
「低温やけど」は触れていて温かく心地よいと感じる温度でも生じるやけどで、赤くなったり、
水疱ができて痛くなることがあり、ひどい場合は皮膚細胞が壊死してしまうことも。
下記のNG例に注意して正しく使いましょう。
NG:就寝時に使う
(睡眠中は熱さを感じにくく、寝ている間に患部が熱くなりすぎることがある)
NG:カイロを直接肌に貼る
NG:こたつなど他の暖房器具と併用する
NG:心臓、わきの下、頭部に貼る(体温が上がりすぎてしまい、頭痛や体調不良の原因になる)
NG:靴用、靴下用のカイロを靴をはかずに使用する
(足の裏やつま先、靴用のカイロは密閉された靴の中でも酸素を取り込み発熱しやすいように
工夫されているため、靴をはかずに使用すると想定温度より熱くなりすぎてしまう)
NG:同じ部位に長時間当てる
(45℃ほどの低い温度でも約6時間で低温やけどを負う恐れがあります
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